脂が少なく食べやすい牛ヒレ肉|特徴と最高においしくなる焼き方をご紹介
「牛肉の女王様」とも言われる牛ヒレ肉。
とにかく肉質が柔らかいことに加え、脂が少ないため老若男女食べやすい部位です。
しかし、とても柔らかいヒレ肉も焼き方を間違えるとせっかくのおいしさを引きだせなくなってしまうことも。
今回は牛肉のヒレは牛のどの部位なのか、どう料理するとおいしく食べられるのかについて徹底解説いたします!
ヒレ肉って牛のどこ?

ヒレ肉ってどんな特徴があるの?
ヒレ肉は脂身が少ない赤身のお肉ですが、肉質も柔らかくクセもないため、幅広い世代に人気の部位です。
「赤身肉」と聞くと噛みごたえのしっかりとしたお肉を想像しがちですが、ヒレは運動量が少なく負荷のかからない部位なので肉質がきめ細かく柔らかいのです。
牛のランクに関わらず、安定して柔らかいのもヒレ肉の特徴。
特に上質なヒレ肉は締まりがあり、うっとりするほどきめ細やかで、焼いた際に火が通りやすいです。
1頭の牛から取れるヒレの量は約3kg。
牛の食肉部位は約300kgのため、ヒレは1頭の牛の約3%しかない部位です。
そのため、希少価値が高く値段も高くなっています。
ちなみに、高級部位として知られているサーロインやリブロースは約10kgです。
ヒレは、先端部分「ミニョン」、中心部分「シャトーブリアン」、根元部分「テート」、側面部分「サイドマッスル」の4つの部位に分かれています。
細分化された部位が市場に出回ることはほとんどありませんが、この4つの部位をまとめてヒレと呼んでいます。
4つの部位の中でも、シャトーブリアンはメディアでも取り上げられることが多いので、聞いたことがある方も多いのではないでしょうか?
1頭の牛から1kgもとれないためヒレ肉の中でも最上級な部位です。
ヒレの中心部分にあるのでさらに柔らかく、希少性が高いため当然価格も高騰します。
余談ですが、シャトーブリアンの名前の由来は19世紀のフランス。
貴族で美食家の「フランソワ・ルネ・ヴィコント・ドゥ・シャトーブリアン」が、あまりのおいしさにシャトーブリアンばかり食べていたためこの名前が付けられたそうです。
また、ヒレ肉はおいしいだけではなく、栄養価が高いのも注目ポイント。
ダイエット中の方にもうれしい低カロリーで高たんぱくなんです。
たんぱく質=アミノ酸(うまみ成分)は、人の筋肉や臓器などを構成するのに欠かせない重要な栄養素。
ビタミンB12・亜鉛なども多く含まれているため、健康ブームの今人気が高まってきています。
おいしいヒレ肉の見分け方

太さをチェック
ヒレをブロック肉で購入する際は、細長いものより太いものを選びましょう。
中心部分(シャトーブリアン)に近くなるほど、厚みのあるお肉になるためです。
ドリップが出ていないかチェック
一見血のように見えるドリップ(赤い汁)は、組織液と言われているものです。
うまみ成分が含まれているので、ドリップが出ているということはうまみ成分も流れ出てしまっていること。
パックを傾ければ簡単にチェックすることができるので、ドリップの出ていないお肉を選びましょう。
色をチェック
美味しい牛肉なのかを手っ取り早く知るためには、お肉の色を観察しましょう。
褐色に近いようなくすんだ色のお肉は、牛肉が酸化して劣化しつつある証拠なので注意するようにしましょう。
ただし、牛肉同士が重なって黒ずんでいる場合は、切り分けた後で酸素に触れることによって鮮やかな赤色に変化するため問題ありません。
重なっていて空気に触れてない状態で黒ずんでいる場合は、酸化が進んでいないということなので、むしろ新鮮な良い牛肉の証拠なんです。
お肉の目利きができると、普段の買い物も楽しくなりますね。ぜひ参考にしてみてください。
ヒレを最大限に楽しむ焼き方

ヒレ肉の良さを、最大限に引き出してくれるステーキ。
注意しなければいけないのが焼き方です。
焼き方を間違えてしまうと、せっかくの良いお肉が台無しになってしまいます。
特にヒレ肉の場合、焼きすぎるとパサついた食感になってしまうので注意が必要です。
重要なポイントを抑えておけば、自宅でもおいしいステーキを堪能することができます。
ヒレ肉だけではなく、どの部位を焼く際にも大切なポイントをご紹介するのでぜひ参考にしてみて下さい。
お肉を常温に戻しておく
ステーキを焼く際の基本。
冷たいままのお肉だと熱の伝導率が悪く、中まで均等に火が通りません。
常温に戻さないとムラのある焼き上がりになってしまいます。
見た目はきれいに焼けているのに中が冷たいという事態を防ぐためにも、最低でも焼く30分前には冷蔵庫から出しておきましょう。
塩コショウは焼く直前に
早い段階で塩を振ってしまうと、必要な水分まで抜けてしまいパサついた食感のお肉になってしまうので、通常のお肉に比べて水分量が少ない熟成肉は焼く直前に塩を振るのがベストです。
塩を振って水分が出てしまった場合は、清潔な布やキッチンペーパーなどで拭き取ってください。
しっかりと熱したフライパンで焼く
フライパンは煙が出るくらいしっかりと熱しておきましょう。
熱したフライパンにお肉を置いたら、何度もひっくり返し、中心まで火が通りすぎないように、強火で短時間で焼くのがポイントです。
お肉を休ませる
最後に余熱のパワーで、中に火を通していきます。
表面をしっかり焼いたら、ミディアムレアに仕上げる場合はアルミホイルに包んで10分待ちます。
レアがお好きな方は8分。うま味と肉汁をしっかり閉じ込めましょう。
ウェルダン(よく焼き)がお好みであれば、フライパンで強火で両面焼いた後さらに弱火で3分ほど焼きます。
そのまま強火で焼いてしまうと水分が飛び、パサパサのお肉になってしまうので注意が必要してくださいね。
うまく焼けたステーキは、ナイフを入れても肉汁が滴りません。
これは、お肉の肉汁とうま味をしっかりと中に閉じ込めることができた証拠です。
調味料はお肉本来の風味を味わいたいのであれば、シンプルに塩コショウがおすすめ。
お肉そのものの味を邪魔することなく、ポテンシャルを十分に引きだしてくれる最高の調味料です。まさにシンプルイズベスト。
いろいろな味を楽しみたい方は、お好みのソースで召し上がってみて下さい。
ヒレ肉だけではなく他の部位でもステーキの焼き方のポイントはほとんど同じです。
焼き方をマスターして、自宅でもおいしいステーキを楽しんでみてくださいね。
ヒレが活躍する激うまレシピ
ヒレ肉はステーキ以外でも活躍できる、万能な部位です。 自宅でも手軽に作れるレシピを3つご紹介します。
牛ヒレ肉のビーフシチュー
レシピ(2人前)
引用:シェフごはん
具材
デミグラスソース(市販・缶詰) 360cc
玉葱 100g
牛フィレ肉 360g
マッシュルーム 8個
ジャガイモ 1個
人参 1/2本
インゲン 12本
サラダ油 適量
赤ワイン 100cc
小麦粉 少々
塩 少々
胡椒 少々
生クリームもしくはサワークリーム 少々
作り方
- 鍋にデミグラスソースを入れて、約10分ほど弱火で煮る。茹でたじゃがいもと人参を入れる。
- フライパンを熱しておき、サラダ油を入れ馴染ませ、玉葱を炒める。しんなりしたら、強火から中火にし、マッシュルームを入れ焼き色をつけ、デミグラスソースの鍋に移す。
- 野菜を炒めたフライパンを洗わずに、再度熱してサラダ油を入れ馴染ませ、牛フィレ肉をソテーし肉に焼き色をつける。あまり焼きすぎないように注意。
- 強火から中火にして赤ワインを炎が出るので注意しながら入れ、肉に絡ませる。焦がさないように、水分を飛ばす。
- 水分を飛ばしたら、鍋に牛フィレ肉を赤ワインごと入れ、鍋の火を止める。塩、胡椒で味をととのえる。食べる際に再度温める。
- お皿にビーフシチューを入れ、茹でたインゲンを添える。最後に、生クリームかサワークリームを上からかける。
牛ヒレ肉のビーフカツ
レシピ(2人前)
参考:クラシル
具材
牛ヒレステーキ用肉 (計300g) 2枚
塩こしょう 小さじ1/4
薄力粉 小さじ2
パン粉 40g
バッター液
薄力粉 40g
溶き卵 (Ⅿサイズ) 1個分
水 大さじ2
揚げ油 適量
キャベツ (千切り) 100g
ウスターソース 大さじ2
練りからし 小さじ1
作り方
準備.牛ヒレステーキ用肉は30分程前に常温に戻しておきます。
- 牛ヒレステーキ用肉は全体に塩こしょうをふり、薄力粉をまんべんなくまぶします。
- ボウルにバッター液の材料を入れ混ぜ合わせます。
- 1を2にくぐらせ、パン粉をつけます。
- 鍋底から3cmの高さに揚げ油をそそぎ190℃に熱し、3を入れます。パン粉がカラッとするまで2分程揚げ油を切ります。
- 3分程置き、食べやすい大きさに切ります。
- キャベツをのせたお皿に盛り付けて完成です。お好みでウスターソース、練りからしをつけてお召し上がりください。
お肉は大きめにカットすると、ボリューム感が出て豪華な印象に。レアに揚げるとお肉もしっとり、柔らかいのでおすすめです。 パンに挟めば、贅沢なヒレカツサンドになりますよ。
まとめ
牛肉界の女王様・ヒレ肉。
希少価値が高く、価格は決して安くはないですがどの牛のランクでもほとんどはずれのない部位で、スーパーで購入したお肉でもおいしく食べることができます。
ヒレを最大限おいしくする焼き方は、
- お肉を常温に戻しておく
- 塩コショウは焼く直前に
- しっかりと熱したフライパンで焼く
- お肉を休ませる
でした。
1度食べたらまた食べたくなる、クセもなく柔らかい赤身のお肉なので、さまざまな料理と相性抜群です。
ギフトに贈っても喜んでもらえるでしょう。 ぜひおいしいヒレ肉で、素敵なお肉ライフを楽しんでください。