牛モモ肉は4つの部位の総称|各部位の特徴やおすすめの食べ方をご紹介

スーパーの牛肉の売り場に並んでいるお肉の中でも、脂部分が少なくヘルシーな見た目のモモ肉。
でも「モモ肉と言ってもどこの部位かよくわからない」そう思ったことがある方も多いのではないでしょうか。

実はモモ肉は4つの部位の総称で、部位によって特徴・栄養・カロリーが違うんです!
今回はモモ肉の特徴・栄養・カロリーに加え、ジューシーでおいしくなるモモ肉の焼き方やアレンジレシピを解説していきます。

モモ肉の特徴

モモ肉は牛の後ろ脚・太モモの部位で、脂肪が少ない赤身肉です。
太モモは脚にある大きな筋肉。
歩く、走る、ジャンプをするといった動きに使われるため、筋肉質でやや硬めです。

モモ肉は大きくソトモモ・ウチモモに分かれ、「ソトモモ」は歯ごたえがある一方で、「ウチモモ」は柔らかく、ご高齢の方や脂が苦手な方、さっぱりした肉が好きな方におすすめです。

モモ肉は約400~500kgの牛1頭から約100kgほど取れるため、流通しやすくリーズナブルなのも特徴です。

 

モモ肉ってどこ?4つの部位別に紹介

モモ肉といっても場所によって味や硬さが違います。
いろいろな分け方がありますが、ここではモモ肉を4つに分けて位置や特徴、栄養・カロリーをそれぞれ解説します。

ウチモモ

ウチモモは後ろ脚の付け根内側にあるモモの中で最も大きな赤身肉の塊で、筋が少なく柔らかい赤身肉です。
ウチヒラ(内平)、オオモモ、コモモ、カブリ、メガネとも呼ばれています。

牛肉の中で最も脂身が少なく、カロリーは100gあたり140kcalとヘルシーです。
ちなみに和牛リブロースのカロリーは100gあたり468kcalとモモ肉の3倍以上になります。

栄養成分はたんぱく質が多いので、栄養コントロールをしている方はもちろん、ご高齢の方や脂身が苦手な方に特におすすめです。

料理方法はブロックで使うならローストビーフ・ビーフシチューなどの煮込み料理、スライスして使うならすき焼き・焼肉・ステーキとレシピは豊富にあります。

ソトモモ

ソトモモは後ろ脚の付け根外側部分で、モモの中で最も運動をよくする部分のため、硬いのが特徴。ソトヒラ(外平)とも呼ばれています。

肉の味が濃いので、噛むほどに赤身肉の味わいが楽しめます。煮込むと硬くなるのでサッと火を通すのがポイントです。

ソトモモをさらに分けると、ローストビーフに最適なマクラ、1頭から数百グラムしか取れない希少部位センボンスジ、スネ肉のように硬いハバキなどに分けられます。

栄養面では、高たんぱくですが脂質も多く、さらにビタミンB6・亜鉛が豊富です。
カロリーは100gあたり215kcalとウチモモより高いです。硬めの肉なので歯が丈夫な方や健康志向の高い方におすすめです。

肉質が硬いので薄切りにしてすき焼きやしゃぶしゃぶなどに向いていますよ。

ランイチ

ランイチはサーロインに続く腰からお尻部分の大きな赤身肉のこと。
しかし、実際ランイチという部位はどこにもありません。
ランイチはランプとイチボを合わせた呼び名なのです。

ランイチはモモの中では背中側にあり、「ランプ」「イチボ」「ネクタイ」の3つに大きく分けられます。
「ランプ」はサーロインに繋がっている部位、ソトモモのナカニクに繋がる「イチボ」、ランプに重なるように「ネクタイ」が付いています。

ランプ

ランプはモモ肉の中で一番柔らかい赤身肉。あっさりとした脂と濃厚な赤身の味が楽しめます。さらにサシが少なく甘さは控えめと上品で「赤身の王様」とも言われています。

栄養成分は、高たんぱく低脂肪で、ビタミンB6、カリウム、亜鉛が豊富です。
カロリーは100gあたり121kcalで、鶏ささみに匹敵するほど低いので、栄養コントロールをしている方はもちろん、ご高齢の方、脂身が苦手な方には特におすすめ。
料理方法はステーキが一番。塊焼きや厚めにカットした焼肉もおいしくいただけます。

イチボ

イチボはお尻の先にある柔らかい赤身肉。
適度に脂肪が入っていてしっかりとした旨味が感じられる部位です。

赤身部分は歯ごたえもあり、噛むほどに赤身味が味わえます。
1頭からわずかしか取れない希少な部位であり、さらに「ロース側」と「ソトモモ側」で違った味わいが楽しめます。
ロース側は柔らかく、サシが多く入っていて甘みが感じられる一方、ソトモモ側は筋肉質で歯ごたえが感じられ、赤身と霜降りのバランスがいいので噛むほどに旨みが溢れ出てきます。

高たんぱく質で脂質も多いですが、ビタミンB6や亜鉛が豊富。
カロリーは100gあたり234kkcalとランプに比べて高カロリーです。
イチボはご高齢の方や脂身を少し味わいたい方にはおすすめ。
ロース側は厚切りにカット、ソトモモ側は薄くスライスして焼肉にするとおいしくいただけます。

シンタマ

シンタマ(芯玉)は後内モモの外側にある赤身の肉のこと。
シンタマはマルシン(シンシン 芯芯)、カメノコ、トモサンカク(ヒウチ)、マルカワの4つの部位に分けられます。

マルシンは「シンタマの中心にある肉」なので「シンシン(芯芯)」と呼ばれています。
ヒレの次に柔らかく、さらにキメが細かいのが特徴。

カメノコはシンタマの隣にあり、その名の通り亀の甲羅のような形をしています。
あっさりしているので脂が苦手な方でも安心して食べられますよ。

トモサンカク(ヒウチ)は牛1頭あたり約2〜3キロ程度しか取れない、非常に希少な部位です。赤身とサシのバランスがよく、旨みが感じられます。

マルカワはシンシンの外側の部位。赤身が多く脂が少ないので食べやすく、脂が苦手な方や女性におすすめです。

高たんぱくですが脂質も多く、ビタミンB6・亜鉛が豊富。
カロリーは100gあたり240kcalです。
シンタマの料理方法はすき焼きやしゃぶしゃぶのほか、焼肉がおすすめです。

ジューシーでおいしくなるモモ肉の焼き方

牛モモ肉をフライパンでおいしく焼くのは意外と難しいもの。
つい焼きすぎて硬くなってしまったり、焼けたと思ったらレア以上に生だったり、失敗しちゃうことも。
ジューシーで柔らかく美味しい焼き方に仕上げる方法をご紹介します。
  • モモ肉をおいしく焼くためには、下記の6つがポイントです。
  • 焼く30分~1時間前に冷蔵庫から取り出し、常温に戻しておく
  • 余分な水分はキッチンペーパーで拭き取る ・筋切りをする
  • 塩こしょうは直前に振る
  • 高い温度で焼き過ぎない
  • 余熱で火を通す
下処理と加熱温度に気をつければ、安いモモ肉でも驚くほど柔らかくおいしいものになります。
60度付近までは食べやすい柔らかさに近づきますが、65度を超えると急に硬く変化してしまうので、焼き過ぎには要注意です。
肉は高温で焼く物と思い込んでいるのが失敗の原因になるんです。
火を止めても加熱が進んでいくので、焼いた後にアルミホイルで包んでおきます。 こうすることで中心部までじんわりと熱が回り、ちょうどいい焼き加減に仕上がりますよ。

ステーキだけじゃもったいない、モモ肉のアレンジレシピ

煮込み料理は時間はかかりますが、鍋に入れるだけで気軽にできる料理です。

モモ肉をおいしく煮込むためには、弱火でじっくりがポイント。

  • 火加減は弱火
  • 状態を見ながら最低1時間(圧力鍋ならあっという間にできます!)

2つのポイントを守れば、モモ肉がとろけるような柔らかさになりますよ。

牛もも肉の煮込み

引用:Asahi

材料(4人分)

  • 牛肉      500g(もも肉ブロック)
  • 塩       少々
  • コショウ    少々
  • 小麦粉     少々
  • シイタケ    12枚
  • サラダ油    大さじ1
  • だし汁     400cc

(A)

  • トマトピューレ 大さじ2
  • だししょうゆ  大さじ4

作り方

  1. 牛もも肉は一口大の角切りにし、塩・コショウする。小麦粉をはたき、余分な粉は落としておく。
  2. シイタケは軸を切り落とし、半分に切る。
  3. 煮込み鍋にサラダ油を入れて熱し、1の牛もも肉を中火で表面がこんがりとなるまで焼く。
  4. シイタケを加えて炒め合わせ、だし汁とAを加えて混ぜ、ふたをして弱火で1時間30分~2時間ことこと煮込む。 味をみて塩・コショウで調えて器に盛る。

まとめ

牛モモ肉の部位ごとの特徴・栄養・カロリー、ジューシーでおいしくなるや、モモ肉の焼き方・アレンジレシピをご紹介しました。

  • 牛モモ肉は「ウチモモ」「ソトモモ」「ランイチ」「シンタマ」の4部位の総称
  • 下処理と加熱温度に気をつければ、驚くほど柔らかく美味しくなる

牛モモ肉は脂身が少なく柔らかい赤身なのでカロリーも低く、ダイエット中の方や脂身が苦手な方、さらに高齢者にもおすすめの部位です。

焼き加減に気をつけて、ジューシーで美味しい牛モモ肉をたのしんでくださいね。