ハンバーグの発祥はアメリカではなくヨーロッパ!由来や歴史について解説

今ではすっかり家庭料理の定番になったハンバーグ。

いったいどこで生まれ、いつ日本にやってきたのでしょうか?

今回はハンバーグの発祥や名前の由来、日本での歴史について解説します!

ハンバーグ発祥の地は実はドイツ

ハンバーグの発祥はドイツだった

ハンバーグの発祥というと、食肉大国アメリカをイメージする方も多いでしょう。

しかし実は、ハンバーグの発祥はアメリカではなく、ヨーロッパ・ドイツなのです。ハンバーグの起源は18世紀ごろにドイツの港町ハンブルクで人気のあった「タルタルステーキ」。

タルタルステーキは、13世紀ごろ騎馬民族であるタルタル人が食していた生肉料理です。

出典:Wikipedia(https://en.wikipedia.org/wiki/Tatars


タルタル人は遠征に連れていった馬も食糧としますが、馬の肉は固く筋が多かったため、細かく切り玉ねぎを混ぜ、こしょうなどのスパイスで味付けして食べていました。

「タルタル人がモンゴル帝国からヨーロッパに攻め込んだ際、ドイツにタルタルステーキが伝わった」と言われています。

ドイツに伝わったあと、生肉の状態から焼き固めることで現在の形に近づいたのです。

名前の由来はハンブルク

ハンバーグの名前の由来、既にお気づきの方もいらっしゃるのではないでしょうか?

「ハンバーグ」という名前は、起源となったドイツの都市「ハンブルク(Hamburg)」の英語読みから来ています。

現地のハンブルクではハンバーグではなく、「フリカデレ」や「グリレッタ」と呼ばれているようです。不思議ですね。

ハンバーグの意外な歴史

ドイツ人がイギリスに持ち込んだことをきっかけに、ハンバーグはヨーロッパ全体に広がりました。

ヨーロッパに渡ってからは、牛肉や豚肉・香辛料やパン粉を入れて鉄板や網で焼きあげる現在に近いスタイルに近づきました。

19世紀、多くのドイツ人が移住のためアメリカに渡った際に、海の向こうでもドイツの郷土料理であるフレデリカを愛食していたため、アメリカでは ハンブルクの厚肉焼き” を意味する「ハンバーグステーキ (Hamburg steak) 」と呼ばれるようになりました。

どんなシーンで食べられてきた?

ハンバーグが生まれた18世紀ごろのハンブルクでは、労働者を中心に人気を集めた食べ物でした。

労働者を中心に人気が広がったのち、一瞬にしてドイツの代表的な家庭料理へと変化しました。

ドイツ人がハンブルクからアメリカに移住する際は、貴重な保存食としてタルタルステーキが重宝されていたようです。

今では世界中で大人気のハンバーグ

現在、世界中で老若男女に愛されているハンバーグは、いつから各国に広がったのでしょうか。

アメリカで1876年に開催されたフィラデルフィア博覧会で、ドイツ料理の中でも当時珍しかったハンバーグが人気を博し、アメリカでも広く知られるようになりました。

ハンバーグを世界的人気料理にした理由の一つに「ハンバーガー」の存在があります。

ハンバーガーは1904年にアメリカの博覧会で売り出された、丸いパンにハンバーグを挟んだものが始まりです。

1940年にアメリカのマクドナルド兄弟によってドライブインレストランで売り出されると、人気が出て、ハンバーガーは世界中に広まっていきました。

それから現在に至るまで、ハンバーグは海を渡り、時には形を変え、世界的に人気の肉料理になったのです。

日本に来たのはいつ?

日本でも子どもから大人まで愛されているハンバーグ。

「いつ日本に伝わり、どのように家庭に普及したのでしょうか?」

日本人とハンバーグの関係性を紐解いていきます。

ハンバーグはいつ日本にきた?

日本で初めてハンバーグが提供されたのは、1882年(明治15年)「赤堀割烹教場」の開校披露の席上。

ただここで提供されたのは、牛肉のみで成形され、小麦粉をまぶし油脂で焼きトマトソースをかけたもので、現在家庭で普及しているものとはかけ離れていました。

みなさんがイメージするハンバーグが西洋から日本に伝えられたのは、肉食が奨励された明治時代。

当時はハンバーグではなく「ジャーマンステーキ」や「ミンチボール」と呼ばれていました。

「ハンバーグ」という料理名が家庭に認知されるようになったのは、大正から昭和の時代です。「戦争での海外渡航を経て、日本に洋食文化が普及したことが影響している」と言われています。

現在のハンバーグ

1962年に鯨肉と鮪肉を原料としたハンバーグが大ヒット商品になり、日本では牛肉を使用していなくても、小判状に成形した肉団子を「ハンバーグ」と呼ぶようになりました。

ハンバーグに牛肉以外を使用するようになった理由は他にもあります。

1960年代、高度経済成長期の日本において牛肉は高価な食べ物だったことです。ハンバーグに牛肉よりも安価な合いびき肉を使用して、主婦は豪華な夕食を演出していました。

主婦がハンバーグをメニューに取り入れたことや、レトルトハンバーグの登場が、ハンバーグを日本全国へ普及させることに繋がったのです。

1970年代になると、醤油味をベースにした「和風ハンバーグ」が登場します。

洋食の”ハンバーグステーキ”とは異なり、和風ハンバーグは、照り焼きソース・おろしポン酢などを使用した日本独自の料理へと変化しました。

日本のハンバーグは、西洋料理をヒントにして経済的事情や工夫により独自の進化を遂げた日本料理の一つといえるでしょう。

世界のハンバーグ料理

世界中で愛されるハンバーグ。ここからは、各国のハンバーグを紹介していきます。

日本(和風ハンバーグ)

まずは、先ほど紹介した日本のハンバーグ。

「和風ハンバーグと」呼ばれる日本のハンバーグにはいくつか種類があります。

・おろしハンバーグ

・煮込みハンバーグ

・豆腐ハンバーグ
など

和風ハンバーグの始まりは、「デニーズ本店が、アメリカ人が想像する”和風”に近づけるために、醤油ベースのソースをハンバーグに合わせたこと」だと言われています。

その後、ポン酢をハンバーグにかけたり、醬油ベースのステーキソースを販売したりする「ハンバーグ×〇〇」という戦略をきっかけに、和風ハンバーグが世間に広がりました。

アメリカ(ミートローフ)

クリスマス料理の定番であるミートローフは、アメリカ全土で親しまれている肉料理の一つです。

ハンバーグとミートローフは似ていますが焼き方に違いがあります。ハンバーグはフライパンで焼いて作りますが、ミートローフは肉だねを型に入れてオーブンで焼きます。

「ミートローフ(meatloaf)」の「ローフ(loaf)」には塊という意味があります。ミートローフの中にゆで卵を入れた「エッグインミートローフ」は、さらに食べ応えがあってアメリカの人気料理です。

イギリス(スコッチエッグ)

スコッチエッグは、ゆで卵をひき肉で包んだものを焼いたり揚げたりしたイギリス料理。

ひとことで言うとゆで卵入りのハンバーグフライです。本場イギリスでは、ピクニックのお供や酒場でのおつまみとして国民に親しまれています。

家庭料理でもあるので、ぜひ一度作ってみてくださいね。

韓国(トッカルビ)

韓国のトッカルビは、わかりやすく言うと「韓国風骨付きハンバーグ」です。

朝鮮料理の一つであるトッカルビは、「トック(餅)+カルビ(骨付き牛バラ肉)」という意味で、カルビが餅のように平べったいことや、餅のように柔らかな食感のため「トック」が入っています。

本来は牛カルビを叩いて味付けしたあと、あばら骨に乗せて焼いた料理でした。ですが現在は、牛肉と豚肉を混ぜたり、臭みを抑えるため鶏肉を混ぜることが多くなっています。

まとめ

今回は、世界中で愛されるハンバーグの発祥と歴史について解説しました。

家庭でも大人気のハンバーグですが、意外な事実も多かったのではないでしょうか。

・ハンバーグ発祥の地はドイツ

・タルタルステーキを焼き固めることで現在の形に近づいた

・名前の由来は「ハンブルク」

日本では独自の変化を遂げたハンバーグ。

他の国でも、様々な形に姿を変えて愛されているんですね。

世界中で愛されるハンバーグの歴史や各国での食べ方を見て、つい食べたくなった方は、今晩のおかずをハンバーグにしてみてはいかがでしょうか?