赤身肉はヘルシー。知っているようで知らない栄養素や効果を解説

赤身肉は「脂が少なくて低カロリー、低脂肪、高たんぱくで体に良さそう」というイメージがありますよね。

なんとなく健康に良さそうとはわかっていても、赤身肉の栄養素について詳しく知っている方は少ないのではないでしょうか?

今回は知っているようで知らない赤身肉の栄養素や、食べて得られる効果について徹底解説します。

赤身肉がヘルシーだと言われる理由

赤身肉がヘルシーだと言われる理由は、「低脂質・低カロリー・高たんぱく」だからです。

牛肉の中で脂肪の多いバラ肉は100g当たり約500kcal。

これに対して赤身のモモ肉は100g当たり約250kcalで、半分もカロリーが抑えられています。

赤身肉の赤色は、筋肉に多く存在している色素たんぱく「ミオグロビン」の色です。ミオグロビンは酸素を蓄える役割があり、たんぱく質を増やし筋肉を作るのに役立つため、消費カロリーが多くなることに繋がります。

さらに赤身肉には、脂肪燃焼効果のある栄養成分「L-カルニチン」も含まれています。L-カルニチンが不足すると、脂肪をエネルギーとして利用できなくなり体が疲れやすくなってしまいます。

低カロリーであることに加え、筋肉をつくる「ミオグロビン」や脂肪燃焼効果のある「Lカルニチン」などの栄養素を含んでいることが、赤身肉がヘルシーと言われる理由です。

栄養素の効果

次に、赤身肉に含まれる必須アミノ酸や鉄分、亜鉛、ビタミンB12栄養素について解説します。 

必須アミノ酸

人の体は約20%がたんぱく質で構成されているため、健康な体を保つためには良質なたんぱく質が必要不可欠です。

人の体のたんぱく質を構成している20種類のアミノ酸。

中でも「必須アミノ酸」と呼ばれる9種類のアミノ酸は体で合成できないため、食事から摂る必要があります。

アミノ酸を摂取する際にポイントとなるのが、「すべてのアミノ酸をバランスよく摂らないと吸収率が落ちる」ということ。アミノ酸のバランスは「アミノ酸スコア」と呼ばれています。

アミノ酸スコアは 100が最も優れている評価で、赤身肉のアミノ酸スコアは100。

赤身肉はアミノ酸をバランスよく摂取するために最適な食材のうちの1つなんです。

鉄分

赤身肉には、血をつくるのに欠かせない重要な栄養素である鉄分が豊富に含まれています。

鉄分は「ヘム鉄」と「非ヘム鉄」の2種類に分けられます。

鉄の多いイメージのあるほうれん草やモロヘイヤなど植物性の食品に含まれる鉄は「非ヘム鉄」と呼ばれ、鉄がむき出しになっているため吸収率が悪いのが特徴です。

赤身肉に含まれる鉄分は、鉄がたんぱく質におおわれている動物性食品の「ヘム鉄」なので、非ヘム鉄と比べると腸からの吸収率が10〜30%も上がります。

ヘム鉄は、赤身肉のほかにも煮干しや赤身魚から摂取することができます。

参考: 厚生労働省『「統合医療」に係る情報発信等推進事業』「鉄」 東北大学大学院医学系研究科血液・免疫病学分野 張替 秀郎「鉄代謝と鉄欠乏性貧血―最近の知見―」

亜鉛

不足すると味覚症状や老化を招くと言われている亜鉛には、牛肉に含まれる2つのアミノ酸「シスチン」と「ヒスチジン」の吸収を助ける働きがあります。

体の中で形を変えた動物性たんぱく質を全身にくまなく行きわたらせる働きもしており、たんぱく質の合成・分解など、新陳代謝において重要な役割を果たしています。

赤身肉の亜鉛含有量は100g中5.7㎎。

鶏肉0.7mg・豚肉1.8mgと比較すると、いかに亜鉛が多く含まれているのかが一目瞭然ですね。

ビタミンB12

現代人に多くなっている貧血の予防を語るとき、神経や血液細胞を健康に保つのに役立ち、血の巡りを良くする働きがあるビタミンB12は欠かせません。

葉酸と一緒に食べると効果の上がるビタミンなので、ほうれん草など鉄分の多い植物性食品に含まれる「非ヘム鉄」と合わせるのがおすすめです。

特にモロヘイヤは葉酸が多いので、焼いた赤身肉に添えて食べれば鉄不足に役立ちます。

ビタミンB12は体内で腸内細菌によって合成されるため欠乏状態にはなりにくいですが、

不足すると血をうまく作れなくなり、貧血に陥ってしまいます。

鉄分や葉酸と上手く組み合わせてビタミンB12を摂取することで、貧血を予防し、血の巡りをよくできます。

目的別、おすすめの部位と含まれる栄養素

赤身肉の中でも、部位によって脂肪の多い部分や赤身の多い部分があります。

一般的には、モモ・ランプ・肩ロース・ヒレ・サーロインなどに赤身の部分が多いです。

牛の種類や育った環境でも肉の脂肪分は変わってきます。

筋トレやダイエットの際はサシ(赤身の間にある脂肪)が多い霜降り肉は避けるようにしましょう。 

筋肉をつけるなら【肩ロース】

筋肉をつけたい時に大切なのは、「カロリー:たんぱく質 = 2:1」のバランスを保つこと。

筋トレをしているなら、たんぱく質とカロリーのバランスが最適な「肩ロース」がおすすめです。

適度に脂肪を含み柔らかく、すき焼きやしゃぶしゃぶなどでも美味しく食べられます。

ダイエットするなら【モモ肉】

ダイエットに一番のおすすめは「モモ肉」です。焼肉屋では「ウチモモ」「ソトモモ」「シンタマ」「ランプ」などと呼ばれている部位の総称。

モモ肉は牛が体を動かす筋肉が集まっているので、ヒレに比べてキメが粗く肉質は少し固め。牛肉の中で最も脂肪とカロリーが低く、高たんぱくな部位です。

加えてモモ肉に含まれるたんぱく質やL-カルニチンは脂肪燃焼を促進してくれるので、まさにダイエットに最適なお肉だと言えます。

ブロックのままローストビーフや煮込み料理にしたり、刺身やたたきにしたり、そのままステーキにして食べてもOK。ダイエットの時は、味付けの濃さにはご注意ください。

まとめ

赤身肉とひと言でいっても、部位によって含まれる栄養素が異なり、目的ごとに最適な部位があるのがわかりました。低脂質・低カロリー・高たんぱくな上に、たんぱく質・鉄分・亜鉛・ビタミンなどたくさんの栄養素が詰まって美味しいなんて、本当に優秀な食材ですよね。

筋肉をつけるなら「肩ロース」、ダイエットするなら「モモ肉」がおすすめです。

それぞれの目的にぴったりの赤身肉を食べて、筋肉増量&代謝を上げて血流をよくし、いきいきとした健康な生活を送っていきましょう。